コロナ禍で急成長!大注目の化粧品EC市場
EC化に難航してきた化粧品業界
2022年8月に経済産業省が発表したデータによると、2021年の化粧品・医薬品業界におけるEC市場規模は13兆2,865億円で、売上のEC比率は8.78%。前年までに比べると大幅に伸びており、2013年からの8年間で2倍以上に増加しています。これは新型コロナウイルス感染症拡大に伴う需要が後押ししていると考えられますが、他の業界に比べるとまだEC比率は決して高くありません。
化粧品販売の3つの特性から、EC化が難しい業界だと言われてきました。
理由は様々あると言われていますが、まず1つ目は、化粧品は販売チャネルが非常に多いこと。化粧品の販売チャネルは、百貨店やドラッグストア、化粧品専門店、バラエティショップ、テレビやカタログでの通販など多岐に渡り、競合が多いためと考えられています。
2つ目は、ドラッグストアなどでの店頭販売の利便性に勝てないこと。若年層を中心に絶大な人気を誇る『CANMAKE(キャンメイク)』や『CEZANNE(セザンヌ)』、『KATE(ケイト)』といった、“ドラコス(ドラッグストアコスメ)”と呼ばれる低価格帯の商品は、百貨店や化粧品専門店に行かずとも、ドラッグストアで購入することができます。都市部・地方を問わず全国に店舗を構えるドラッグストアは、ECよりも早く手軽にコスメを手に入れられる場所。さらに、プチプラコスメは送料がかかるECサイトで購入すると、店舗で買うより価格が高くなるため、ECとの相性があまり良くないと言えるでしょう。
3つ目は、化粧品は店頭ならではの体験が充実しており、実店舗で購入するメリットが多いこと。百貨店のコスメカウンターや化粧品専門店では、美容部員によるタッチアップや肌診断が行われていることが多く、自分に合った商品と出会えるような仕掛けがたくさん。“デパコス(デパートコスメ)”と呼ばれるラグジュアリーブランドの高級化粧品を買う際は「店頭で実際に試し、美容部員のアドバイスを受けながら、失敗のない買い物をしたい」という消費者ニーズが根強く、EC化のハードルが高いと言われています。
コロナ禍でのEC急成長と採用ニーズの拡大
しかし、そんな化粧品ECも、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴い、状況は一変。店頭でのタッチアップ・テスター設置の自粛や、緊急事態宣言中の店舗の休業の影響で、通販・ECの売上が急増しました。例えば、プチプラコスメからラグジュアリーブランドの高級化粧品まで幅広い価格帯のアイテムを扱う「アットコスメショッピング」では、2020年1月~3月の売上が前年比150%を達成したそうです。
これまでも通販・EC業界は成長産業の1つと言われていましたが、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大による影響からオンラインの需要が大幅に増加したことが追い風となり、今までEC化が遅れていると言われてきた化粧品・美容業界でも今後さらにECの成長やオンライン強化が格段に進むと考えられます。オンラインチャネルの強化やオンライン接客の導入、店頭とECサイトの連携強化、ブランディングツールとしての活用など、様々な形で各社がEC領域に注力しており、採用活動も積極的に行われるように。今後もEC需要は伸びると予想されるためECに精通した人材や実務経験がある人材は企業から求められる人材と言えるでしょう。
この記事では、そんな化粧品ECの運営に携わりたい方が知っておくべき情報を集約。「具体的にどんな業務があるのか」「採用されるためにはどのような経験・経歴が必要なのか」「業務を通してどのようなスキルを身につけられるのか」「どのような企業が採用を行っているのか」などの疑問を解決します。
EC運営の仕事内容・身につくスキル
EC運営と一言で言っても様々な業務があり、職種によって業務内容も身につくスキルも大きく変わってきます。ここでは、大きくフロント業務とバックエンド業務に分け、それぞれどのような業務を担うのか、どういったスキルが身につくのかをご説明したいと思います。
1. 売上に直結する【フロント業務】
EC運営におけるフロント業務は、マーケティング・販促活動など売上に直結する業務が中心。その内容は、「自社サイト、Amazonや楽天など外部モールへの出店などをはじめとしたサイト運営」「ECサイトの企画・コンセプト設計」「商品の仕入れや調達、企画、在庫管理、入れ替え等を行うMD(マーチャンダイジング)」「バナーやLPなどのクリエイティブ制作」「商品の販売促進を行うプロモーションやキャンペーンの企画、メルマガ配信、CRM」「サイト集客のためのSEOや広告運用、SNS運用、コンテンツマーケティング」「サイト分析や導線設計、改善」など多岐に渡ります。
そんなECのフロント業務では、社内でエンジニアやデザイナーと連携してプロジェクトで動くことも多くあるためマネジメントスキルやディレクスキルが得られます。また、売上・集客UPのために必要なWEBマーケティングスキル、数字分析やデータから課題・傾向を把握し戦略を立てる分析力や企画力、ネット上でターゲットに向けてどのように訴求しアピールしていくかが重要なブランディングスキルなどもECのフロント業務で身につくスキルとして挙げられるでしょう。
特に、WEBマーケティングスキルは幅広い意味を持ち、Webリテラシーやマーケティング用語など基礎知識から、トレンドの移り変わりが速いためトレンドを把握する情報収集力や様々なマーケティング手法を使いこなすノウハウなど幅広いスキルを身につけることができると言えます。
2. 販売以降のプロセスを担う【バックエンド業務】
一方、主に販売後の商品の受発注や購入者対応などを指すのが、バックエンド業務。具体的には、「商品の保管や在庫管理」「受注から発送までの対応」「商品不良や返品手続きなどのアフターサービスやユーザーからの問い合わせを受けるカスタマーサポート」「アウトソース先のベンダー業務」「ロジスティクス管理」等の業務がこれに当たります。事務作業が多く、販売以降のプロセスを支えるので、売上や規模が拡大するにつれ負担が大きくなり、業務フローの改善や業務効率化が求められますが、その中で顧客満足度にも大きく関わることに。リピーター獲得のためにはバックエンド業務が非常に重要なプロセスを担っていると言えるでしょう。
バックエンド業務で得られるのは、在庫管理~注文・発送まで幅広く対応するためマルチタスクスキルやミスなく丁寧に対応するスキル。さらに、お客様と直接やりとりする機会もあるため、ブランドの「顔」としてのコミュニケーション力や顧客対応力も身につけることができるはずです。
化粧品・美容業界でEC運営の仕事に就くために必要なスキル・経験
化粧品・美容業界でのECの仕事は、一般的に実務経験者の採用がほとんどなので、携わりたいEC業務の実務経験を積むことが最も近道。EC領域の転職では扱っていた商材よりも実務経験・スキルが重要視される傾向にあるため、化粧品・コスメ業界でECの仕事に携わりたい方は、まずECに関わる実務経験を積んだのちに、化粧品・コスメ業界へ転職するという流れがスムーズです。
またプラスアルファとして、携わりたいEC業務に求められる基礎知識やスキルを先に身につけておくと、より有利に転職活動を進められるでしょう。ExcelやWordなど基本的なPCスキルはもちろん、HTMLやCSSに代表されるサイト制作に関わるコーディング知識やサイト制作言語、Photoshopやillustratorなどを使用した画像加工スキル、WEBマーケティングの知識やGoogleアナリティクスなどの解析ツール等を実務経験の中で習得しておくことをオススメします。
化粧品・美容のEC運営に携われる企業
化粧品・コスメのEC運営の求人を出している企業は、化粧品メーカーとモール・小売り系の2つに分けられます。
化粧品メーカー
1つ目は、資生堂やコーセー、カネボウといった、ブランドを展開し、自社でコスメを製造・販売する化粧品メーカー。ブランド側で働きたい方は、化粧品メーカーがおすすめです。
モール・小売り
2つ目は、ECサイトを運営するモール・小売り系の企業。『楽天』や『Amazon』といった幅広い商品を扱う総合ECサイトを展開する企業の他、前出の『@cosme shopping(アットコスメショッピング)』を運営する株式会社コスメ・コムのように化粧品に特化したECサイトを運営する企業も。いずれも、流通(販路)の垣根を超えて幅広いブランドや商品を扱うことができるため、自由度が高いのが特徴です。
自社ECサイトで購入できる商品ラインナップを増やすためにメーカーへ買い付けを行うMD(マーチャンダイザー)のポジションがあることもモール企業ならでは。MDは営業に近い職種のため、EC未経験でも営業スキルをお持ちの方なら応募できる場合も。
また、モール企業はほとんどがIT会社なのでITサイドが発展しているため、EC領域の専門性高めたい、最先端の環境でスキル磨いていきたい人にも向いていると言えるでしょう。
最後に
コロナ禍で急成長中の化粧品・コスメのEC。携わってみたい方は、積極採用中の今がチャンスです。
「自分にはどの企業がマッチするのか」「今持っているスキルで挑戦できるのか」など気になった方は、ぜひ『アットコスメキャリア』のキャリアカウンセラーによる無料転職相談をご利用してみてくださいね。